「宮城」

は、と現実に戻る。
しまった、今は仕事中――

「仕事中何をぼーっとしてる?」

目の焦点を必死に合わすと、すぐ近くから上司の声が降ってきた。
ほんと、何をしてるんだろう。情けない。

「すみません…」

俯いて答えると小さなため息とともに苦笑する彼の声が聞こえた。

「……まぁ、今日ぼーっとしてるのは宮城だけじゃないけどね。クリスマスだからってみんな浮かれすぎだよな」

エリートのイケメン上司としていつも注目を浴びる彼だが、いつもはあまり喋るほうではない。

いつになく饒舌な上司に多少の違和感を覚え、思わず顔を上げると、こちらをじっと見つめる切れ長の瞳に捕まった。

トクン、と胸が騒いだ。

「宮城も、彼氏とデート?」

彼氏。

ぎゅ、と心臓が締め付けられる。

『ごめん、ゆき』

「、……いえ」

やめて、

「え、宮城確かいたよね、かれ」

「部長に関係ないじゃないですか!」