月のヒカリ




「良かったな・・・」

 言うと、小さくうなづいた。


 うなづいたってことで、琴実は、ホントはこんなことしたいわけじゃなかったんだと確信が持てた。

 なら、

 どうして??




「雫を殺したかったわけじゃないの」

 琴実がつぶやく。

 なんだか、琴実の肩が寂しそうで、オレはまた一歩近寄った。

「・・ん?」

 やさしく、やさしく。
 そう思いながら琴実の言葉を促した。



「あたしが、死にたかったの。」



 ゆっくりと目を開けた雫を抱きしめて、琴実は質量のない言葉でオレを殴った。


 ドコッ


 っと、胸が痛んだ。