オレは少し戻ったトコにある河川敷公園に降りる階段に急いだ。
 胸をドンドンと脈がうるさい。


  最近、琴実と会うことはなかった。


 けど、、、距離は出来てたけど、嫌いになった訳ではない。

 なんだか琴実のギリギリのところに居合わせた予感があった。

 近寄ってみるとやはり影は琴実で、猫は琴実のトコの雫だった。




「琴実?」

 オレが後ろから声をかけると、琴実は疲れきって感情のない表情で振り返った。

「・・・」

 振り返っても、確かに目があったにも関わらず、声を出す様子もない。

「・・・琴実?」

 疲れ切った様子の琴実にもう一度声をかけた。


 人違い??

「・・・・たくみ・・くん?」

 きゃしゃな、琴実の声だった。