私達は抱き合っていた。


どちらからともなく唇を重ね、互いの舌を確認するかのように絡ませ合う。


とろけるような初めてのキスに胸が高鳴った。


身体中に彼の唇が這う。


耳に、首筋に、胸に、背中に、繋いだ指先まで熱を帯びていき、導かれるように感じていく。


彼が私の身も心も、その全てを包み込む。





私の痛いところを平気で突いてくる彼は、


意地悪でもあり


ひねくれ者でもあり


たまに優しくもあるのだ。


だけど…


何故かそんな彼が大好きになっていた。


《赤ジャージ》から


《佐川 浩樹》に変わった


一人の男を見ていた。