帰りはタクシーで、彼が自宅近くまで送ってくれた。


逆方向なのにね。


タクシーから降りたくない…

もっと一緒にいたい…


そういうわけにはいかないことを充分わかってる。


彼に恋する自分を抑えることで、私は私を保っていられる。


私は“母親"なのだから…


私を必要としている子供達が待っている。


恋に溺れている時間はない。


だから恋に恋しているだけで、充分なはずだった。