『一応、今さっきの夫婦に言っとくか…』

美弥を抱き上げたまま、玄関のチャイムを押した。しばらくしたら、中年夫婦が出てきた。

『どちら様で?』

『この子もらいますから』

『はぁ?』

パチン

と夫婦の目の前で指をならした。
夫婦は何もなかったかのようにドアを閉めた。

『な、何をしたんですか?』

『あの夫婦の君の記憶を消しただけ。さっ、帰ろうか?』

美弥を下ろして、彼女に歩調を合わせて歩いた。

その間、H.D.について話した。(H.D.は人間と悪魔の間に産まれた子のこと。)それから、俺について少しだけ話した。


『多分、一緒に生活してたら俺についてわかるよ。』

美弥は頷いた。


親父たちにバレたら大変だから裏口から入るか…