クラスの女子の中でも仲がいい方だって思ってた。

この距離に自惚れていたのかもしれない。


* * * * * *
近距離

早瀬絵美子
夏木翔
* * * * * *


「翔……聞きたいことあるんだけど……」

「ん? どした? 俺と絵美子の仲じゃん! 何でも聞いてッ」


私は翔にどうしても聞きたいことがあった。


* *


私と翔の出会いは、中2の1学期だった。


その日はバスケの大会の日で、色んな中学が集まっていた。



「辞めた方がいいのかな」


私は体育館脇の人気(ヒトケ)の少ない場所で膝を抱えて俯いていた。

泣きたかったけど、ここで泣いたら負けな気がした。



決勝戦。

私たちは破れた。

私のシュート率は最低だった。

だからレギュラーになれなかった3年生達に責められた。

1年の頃から試合に出してもらっていた私をよく思わない先輩がいて、日頃から嫌味を言われていた。


もう結構限界だった。



その時、

人の足音が近づいてきて、私の前で止まった。