小・中と同じ学校だし、仲はいい。

でも高校が別になると何か遠くに感じるもんだ。

* * * * * *
16:52発

瀬戸晴輝
桜田茗
* * * * * *


16:52発。

俺は大抵この電車で帰る。


いつもは友達と一緒だが、今日は訳あって1人だ。


電車が到着し、ドアが開いた。

「じゃぁなー」

「また明日ね」

「うん! ばいばいッ」


……!


隣のドアからよく耳にするやりとり。

だけど俺は咄嗟に声のした方を向いた。


電車を降りた男2人と女に手を振る女子。


間違えない……茗だ。


……てか、男と……。



俺は目の前のドアから乗り込み、隣のドアの方へ向かった。


「よッ! 茗」


閉まったドアに寄り掛かっていた茗と目が合う。


「晴輝! 驚いたぁ。久しぶりッ」


茗と会うのは春休みに近所のスーパーで会って以来だ。


「変わってねぇなぁー」

「晴輝もね!」


本当は、高校の制服を着た茗が少し可愛く見えたり。


「晴輝、いっつもこの電車なの?」

「そ。お前は?」

「これより1本遅いやつ。今日、担任の先生いなかったからホームルーム早く終わったんだ」

「へぇ」


1本遅く乗れば会えるんだ。

そう思ったら嬉しくなった。


それから俺たちは、高校の事や中学時代の友達の話をした。