趣味が違ったって

一緒にいられれば幸せ。


* * * * * *
そんな2人の休日

栗沢明日香
仁科奏介
* * * * * *


「わぁ! やっぱり混んでるね」

「話題になってるやつだから」

「とりあえず並ぼっか」



ある日曜の昼下がり。

私たちは映画館にやって来た。

最近話題の洋画で、映画好きの奏ちゃんはもちろん、私も観てみたいと思っていた。



パンフレットを買ってから席に着いた。

後ろから3列目の一番左側。

段差があるため、後ろの方でもスクリーンは問題なく観ることが出来る。



「……大丈夫?」


席に着いての奏ちゃんの第一声だった。


「え? 何が?」


何が大丈夫なのか分からなかった私は首を傾げた。


「明日香、洋画見てると眠くなるって……」

「もー! 奏ちゃん、そうゆーの『余計なお世話』って言うんだよー!」


そう言って口を尖らせると

奏ちゃんは小さく「ごめん」と言った。

素直に謝る姿が可笑しくて、思わず笑ってしまった。