好きな人のことって必要以上に気になっちゃいませんか?

私の場合そうなんだけど……。


* * * * * *
彼のコト

桜田茗
橘識
深見恭二
市村千花
* * * * * *


「ん? 誰か携帯鳴ってねぇ?」


帰りの昇降口。

どこからともなくバイブ音が響く。

恭の一言で皆一斉に制服のポケットを触った。


「私じゃないよ」

「私違う」


千花と私が声を揃える中……


「もしもし」


電話に出たのは識だった。

『俺だ』くらい言おうよ。



「なんだお前か」


電話に出た識の顔がいきなり不機嫌になった。


――相手誰だろ?


こういう時気になりません?

それに識のことだし……


恭と千花は特に気にする様子もなく、2人で話し始めてしまった。