この放課後が忘れられない時間になるなんて、

私は思ってもみなかった。


* * * * * *
空色タオル(後編)

市村千花
深見恭二
* * * * * *


「クラス代表の集まりっていつもあんな感じ?」

「んー。今日は楽な方だったよ。決めることも特になかったしね」

「なんか俺浮いてなかった? 『誰だよあいつー』みたいな……」


配布された掲示物を貼ってから帰ろうと、そんな話をしながら教室に向かっていた。



感じているのは私だけかもしれない。

この微妙な距離感。



「恭……」

「ん? 何?」

「あ……えーと……なんでもない」

「ははっ。何だそれ」

「ごめん」

「?」


聞けないよ。

『笹本君に告白されたって聞いてどう思った?』なんて。


聞いてどうするの?

もう過ぎたこと。

今更持ち出す話題?


こればかりは恭に相談できない。

恭の心の中が見えてしまえばいいのに。