この女、相当酔っているな。

 さとるはため息を吐きながら思った。

「どうですか?」

 しかしそこまで言われたのだ。

 さとるの中に、開き直りの気持ちが生まれた。

 トドメを刺されたあと、一人っきりのクリスマスイブなんて嫌だった。  

「お言葉に甘えます」

「じゃぁ、行きましょう。部屋は汚くないんで」

 女は泣き笑いしながら手を合わせ口を開いた。

「お名前は?」

 さとるが聞くと、女は振り返って言った。

「すどうあきほ。あなたは?」

「にったさとる」

 女が顔を拭い再び微笑った。

 さとるは、あっ、かなり良いなと思った。目の前に居る女は、かなり良い。