中学受験の時からの競争の中、大人達に夢や希望など持つな、現実を見ろと言われ続けて今の顔になった気がする。

「香奈子の言う通りかもしれないな」

 さとるは目の前に、かつての恋人の姿を思い浮かべながら呟いた。

 想像の顔でも笑いは無い。

 かといって、泣き顔でも無く無表情だ。

「でも、今更どうしろっていうんだ」

 さとるは頭を振って想像の香奈子を掻き消し、歩き出そうとしたが、足を止め、再びショーウインドーの中のサンタクロースに目を向けた。

 変化という言葉が、心の中に漂っている。