「沙良だからな」



将ちゃんが
主語も無く言う。

だからあたしの頭に
ハテナが浮かぶ。




「何が?」
「何でも?」


意地悪く笑って
あたしを見る君。




「酷い」
「酷くはねぇけど」



微かに顔が赤いのは
寒いから?





「ギターばっかりやってたら…あたし別れちゃうよ」




キュッと


絡まった将ちゃんの指先を握りしめた。





「ごめん…俺にはギターも大事なんだ」




知ってるよ……
だけどね
我慢出来なかった



恋をすると
我が儘になる

臆病になって
独占欲の塊になる



別に将ちゃんは
悪くないよ…





「沙良との時間、作ってやれなかった」



ポツリと

将ちゃんが呟くごとに


白い吐息が
目に見えて消える





「大丈夫だよ」
「我慢すんなって」



将ちゃんは真剣に
あたしを見つめた