幻妖奇譚

 ――頭が、まるで何かで殴られたみたいにガンガンする。周りの音が耳に入らない。……あまりの気持ち悪さに立っていられず、ふらつきそうになる。

「関口ッ……!」

 中原くんがあたしの体を支えようと、手を伸ばした時――


「触んないでッ!!」

 手を払い除け怒鳴った瞬間、ぼろぼろと涙が零れた。

「……ッ!!」

「関口ッ!!」

 踵を返したあたしは階段を駆け降りる。

 恥ずかしい……恥ずかしい恥ずかしい!!

 ……あたしを笑ってたんだ。いい気になって自惚れてるあたしを見てみんな笑ってたんだ!!

「――……ふッ……く、ひッ……!!」

 中庭に辿り着いた時には、午後の授業の始まりを報せる予鈴が鳴り響いていた。

 チャイムの音にあたしの泣き声はかき消された――。







 ひとしきり泣いた後、焼却炉に自然と足が向く。

 今まで大事に抱えていた二つのお弁当箱……。

 お昼休みに用務員さんが着火したまま燻っている炉に、ためらいもなく二つのお弁当箱を投げ入れる!!







「……許さない……絶対に……」

 心の奥深くにしまっていた邪心が体中を駆け巡る――。