幻妖奇譚

「付きまとうなんて……あたし、中原くんに“付き合って”って言われ……」
「だからそれが嘘なんじゃん! あんた騙されてんのよ!?」

 だって……あれから毎日一緒に帰ってるんだよ?手も繋いでるし、“沙希”って呼んでくれてる……。

「ちょっと? せっかく忠告してあげてるんだから聞きなさいよ!」

「……信じないッ!!」

 あたしはそれだけを言うと彼女達の横をすり抜け、屋上へと走り出した。

「あ、あんたが信じたくなくても、それが事実なのよッ!?」

 嘘よ――嘘に決まってる!!屋上に急がなきゃ!中原くんが待ってる。

 屋上に続く階段を一気に駆け上がる。ドアのノブに手を掛けた時、話し声が聞こえた。

「……しっかしお前も役者だよなぁ」
「なぁ、一ヶ月は持たせろよ? 俺の昼飯が掛かってんだから」
「よゆーよゆー♪ あの調子じゃ、大丈夫っしょ?」

 ……やだな、中原くんと待ち合わせしてるのに。でも早くしないとお昼休み終わっちゃう……。

 ――意を決し、ノブを回した時だった。

「……にしても遅えな、関口」

 ……――え?あたし?

「今日って一週間めだろ? まさかもうゲーム終了かよ!?」







「――……ッ!?」