幻妖奇譚

「痛ッ!?」

 光江の右人差し指に受話器のコードが巻き付いている。

「……も、何なのよ!? このボロ電話ッ!!」

 受話器を左肩に乗せ、左手でコードを伸ばそうとした時――






 ボキッ……

「ぎゃあああッ!!」

 光江の人差し指が……手の甲側に沿う形でぴっちりと折り曲げられている!!

「痛い痛い痛いィッ!!」

 光江の肩から受話器がずり落ちる。

 有り得ない方向に曲がった指を左手で押さえ、その場にしゃがみ込む光江。

「指が痛いよッ!! 誰か来……」

 光江の声が急に途切れる。代わりに受話器の向こう側から『はいッ!! 関口ですッ!!』と、あたしの声が響いた。

 ……そうだ。この時、呼び掛けても全然返事がなくて、変な電話だなって思ったんだった。

 そうか、そうよね――返事が出来るわけがない。この状況で声なんて……出せるわけないよ……ねぇ?光江?だって……






 光江の首には受話器のコードが巻き付けられているのだから。

 光江の目にはコードが勝手に巻き付いたように見えるだろう。

 しかし実際はサキが力一杯、光江の首をコードを使って締め上げているのだ……!!