幻妖奇譚

 ……ちょ→ウザ?
 あたしが?

「この子の本性見た、って感じね……」

「…………サキ、お願いがあるの」

 サキが訝しげに首を傾げる。

「あたし……光江を殺したい……!! 自分の手で!!」

 サキは特に驚きはしなかった……そして、それだけは無理よ、と申し訳なさそうに言った。

「だって、今は“過去”。過去は変えられないわ……。それに」

「それに?」

「沙希の手を汚すワケにはいかないもの」

「だけどッ!! あたし悔しいよッ!!」

「沙希には輝く未来があるわ。そしてあたしは沙希を全力で守るって決めたの――そのためにも」

 サキが一呼吸置く。

「沙希にとって邪魔な人間は、あたしが一人残らず駆除してあげるわ……!!」





 光江が受話器を上げ10円玉を入れて、あたしの家の番号を押していく。

 あたしがいつの間にか眠っていた時間だ――あの電話は光江だったのか。

「とっとと取りなさいよ、バカ沙希。怖がらせてやるわ♪」

 文句を言いながら、光江が受話器のコードをクルクルと指で転がしていた時――