「そうだよね。好きな人の子供なら欲しいよね。」


「うん。でも、私にはまだやりたいことあるし。別に今どうしてもってわけじゃないから。」


「まだ若いし?」


「そうそう。」


「ごめん。私、そろそろ行くね。」


「ごめんね。塾あるのに。」


「全然。じゃあね。」


「うん。バイバイ。」


由衣が教室を出て行って一息。


かなり広がってるんだ。


この噂。


でも、まだ誰ってわかったわけじゃないし。


ドクンドクンっていつもより激しい心臓の音。


止まれって思っても、なかなか止まらない。


不安が、波のように押し寄せてきた。