そうなんだ。今日、12月25日はあたし――間宮 毬(マミヤ・マリ)の15回目の誕生日なんだ。


「さっ、まりっぺ、イッキにロウソクの火を吹き消して」

「うん」

郁巳(イクミ)おねーさんに言われたあたしは、15本のロウソクの火がユラユラと揺れる様子を瞳に焼き付けるようにちょっとのあいだ見つめると、胸いっぱいに空気を吸い込んで、そして…、

「ふぅ~…」

…って、ゆっくりまんべんなく息を吹いた。

15本のロウソクの火が全部消えると同時に“パチ、パチ、パチ…”と拍手が起こった。

「おめでとう! まりっぺ!」

「15歳の誕生日おめでとう!」

「ハッピーバースデー!」

暗闇の中から、いくつものお祝いの言葉がかけられ、パッと店内の照明が点くと、そこには郁巳おねーさん、喫茶店のマスター夫婦をはじめ、20人近くの若いヒトたちの鮮やかな笑顔が広がった。

そして部屋中に色とりどりの紙テープで飾りつけまでしてくれている。