恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~


彼女のお墓に向かったあたしは「杏奈さん」と心の中で話しかけた。

ごめんなさい。でも、やっぱりこれからも「母さん」とは呼ばないよ。あたしはあなたを“母親”じゃなく、同じひとりのオンナとして、これからも見ていく。

結果的には若くして亡くなっちゃったけど、たとえ目の前にどんな障害が立ち塞がっても、それでもひとりの男のヒトを愛して燃え尽きたあなたの情熱を、同じひとりのオンナとしてあたしは心から尊敬するよ。

父を運命の相手だと信じて駆け抜けた人生に、後悔なんてなかったんだよね?

健康な心臓を持つあたしが、ちょっとやそっとのことでヘコたれたりしたんじゃ、あなたにだって笑われちゃうよね?

19歳……人生の新しい一歩を踏み出した今日このとき、あたしを産んでくれた杏奈さんと、あたしを守ってくれた剛に誓うよ……あなたたちに与えられた人生をムダにしないように、これからちゃんと生きてく、って。

だから、これからも空の上からあたしのことを見守ってて……。


今までは死んだヒトが空の上にいるなんて信じられなかったけど、今日は素直に信じられるような気がした―――――



“ピロピロリ~ン♪”