恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~


「ありがとう…」

「あぁ…」

それっきり父は何も訊かないでいてくれた。

父さん、ありがとう……そして心からごめんなさい――――



その日は“心臓ドック”……つまり心臓検査の2日目ということで有給休暇をもらっていたあたしは朝一番で病院に向かった。

今まで毎年の心臓ドックで異常が見つかったことはないんだけど、今年はいつになく検査結果が気になってしまう。

杏奈さんはあたしを産んだあと、19歳の誕生日の1週間前の日に死んでしまった。

あたしは今日19歳の誕生日を迎えることができたけど、もしかすると娘であるあたしも母親と同じ道をたどって、ハタチにさえなれないまま死んでしまうんじゃないかという不安があったんだ。


だけど、結果的にいえばソレは余計な心配だった。

今年も心臓に異常は認められなくて、あたしは父の仕事が終わるのを待って、いっしょに町外れにある杏奈さんの墓前へと検査結果の報告に出掛けた。

「母さん、毬は元気に育って19歳になったぞ。お前より一つ年上だな」