「毬ちゃんがクルマに轢かれそうになったみたいで」
「なんだって!? 救急車は?」
「救急車はいいよ……膝を擦りむいただけだから……」
すると今度は助手席から身を乗り出してカーリーヘアーのおばさんが言った。
「まぁ、とにかくケガの手当てはしたほうがいいよ。とりあえずウチに来な」
マスター夫妻に会うのは3年ぶり、剛のお葬式のとき以来になる。
剛はあたしを守って死んだ。つまり、あたしのせいで剛が死んでしまった。一人息子を死なせる原因を作ってしまったあたしとしては二人に本当に申し訳なくて、ずっと会えないままでいたんだ。
「すいません……」
もうケガの手当てなんて、どーでもいいような気分だったけど、マスター夫妻の心づかいを断ることもできなくて、誠志郎さんといっしょに夫妻のクルマに乗せてもらったあたしは、とりあえずはケガの手当てをするために屯を目指した。
「こんなシチュエーションで言うのもどうかと思うが……」
クルマが走り出してすぐマスターが話を切り出した。
「なんだって!? 救急車は?」
「救急車はいいよ……膝を擦りむいただけだから……」
すると今度は助手席から身を乗り出してカーリーヘアーのおばさんが言った。
「まぁ、とにかくケガの手当てはしたほうがいいよ。とりあえずウチに来な」
マスター夫妻に会うのは3年ぶり、剛のお葬式のとき以来になる。
剛はあたしを守って死んだ。つまり、あたしのせいで剛が死んでしまった。一人息子を死なせる原因を作ってしまったあたしとしては二人に本当に申し訳なくて、ずっと会えないままでいたんだ。
「すいません……」
もうケガの手当てなんて、どーでもいいような気分だったけど、マスター夫妻の心づかいを断ることもできなくて、誠志郎さんといっしょに夫妻のクルマに乗せてもらったあたしは、とりあえずはケガの手当てをするために屯を目指した。
「こんなシチュエーションで言うのもどうかと思うが……」
クルマが走り出してすぐマスターが話を切り出した。


