恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~

「心配かけて…ホントにゴメンなさい」

あたしは深々と頭を下げた。

「いいよ。とにかく無事だったんだから。いいから、もう頭上げろよ。それに俺のほうもキミには謝らないといけないしな」

「誠志郎さんがあたしに…?」

思わず頭を上げてしまうあたし。

「あとちょっとで外科医の先生と結婚できるところだったのに、俺がブチ壊しちまって……。悪かった。すまないことをしたと思っている」

そう言って、今度は彼が頭を下げた。

「でも、それは…」と、あたしが言ったところで…、



“プッ、プッ”



…と軽くクラクションが鳴らされた。

音のしたほうを見ると、路肩にハザードランプをチカチカ点滅させて停車したクルマの運転席から、リーゼント頭の中年男があたしたちのほうをじっと見ていた。

「どうした? なんかあったのか?」

そう言ったのは剛の実家である軽食喫茶・屯のマスターだった。