「寒かったろ? 手がこんなに冷たくなっちまって」
そう言って、部屋に忘れてきていたあたしのコートを差し出そうとした彼は、だけどやめて、自分の着ていたコートを脱ぐと、あたしの背中からかけてくれた。
「あったかい……」
彼の体温で暖められたコートは、凍てついたあたしの体を包みこんで暖めてくれた。
これがヒトのぬくもりってヤツか……。
あたしはまだひとりぼっちじゃなかったみたい。
「でも、それじゃ、誠志郎さんが風邪ひいちゃうよ。あたし、自分のコート着るから、コレ返すよ」
そう言って彼のコートを脱ごうとするあたしを、誠志郎さんは「いいよ、いいよ」とやさしく微笑んで制した。
「俺はそこいらじゅう毬ちゃんを探し回っていたから、体が暖まってるんだ」
「ごめんなさい……足が悪いのに歩き回らせちゃったりして……」
「大丈夫。学生時代はカラダ鍛えてたし、それに俺の場合、杖と自分の両足とで合わせて足が3本あるようなもんだから、そう簡単にはへたらねぇよ。ハハッ」


