「そーだね……あのときはただ目立ちたがり屋のバカが、自分勝手なことしてるだけとしか思わなかったけど……」
「フッ…」
立ち止まって思い出したように笑う彼。
「なんか笑っちゃうよな、まるで青春マンガの登場人物みたいで」
「え?」
あたしも立ち止まった。
「体育会系の男2人が、好きな1人の女の子をめぐって争うなんてマンガじゃね?」
「好きな1人の女のコ……誠志郎さんは、あたしのことが…“好き”……」
そーいえば勤さんは今日まで一度だって、あたしを「好き」とは言ってくれてない。
縁談が前向きに進んでいるという事実だけで、あたしたちは互いに好き合ってるものと決めつけてる。
でも「好き」とは言ってもらってないし、あたしも「好き」とは言っていない……。
勤さんはオトナだし、学生時代の男女交際みたく、いちいち“好き”なんて言葉をクチにしなくてもいいんだ、って言ってしまえばそれまでだけど。
でも、あたしはちゃんとあたしのこと「好き」って言ってほしいし、そう言ってくれるヒトと結婚がしたい……。


