「…ったくウルセーな。そんなデケェ声出さなくても聞こえてる、っつーの」
剛が両手の人指し指で耳を塞ぎながら、いかにもうっとおしそうな顔をして言う。
「お、お前は明東大の桐矢っ!」
まさかさっき試合をした剛がいるとは思わなかったみたいで、かなり驚いた様子だ。
「悪りィな、マリヤの保護者としてのオレ様の監督不行届だ」
「…って、剛はあたしのなんなのよ!」
そっきまでの恐怖心は、今の剛の発言でスッカリどっかに吹っ飛んでいた。
「ホラよ。修理代やるからとっとと帰れ」
だけど剛がズボンのポケットから取り出したお金は、100円玉や10円玉が数枚あるだけだった。
「そんなはした金で足りると思ってんのかよっ! ふざけんなっ!!」
いきなり剛を殴るスキンヘッドの選手。
「おい、四方。今の見たろ?」
殴られたのになぜか笑っている剛。あたしには笑う理由が分からない。
「たしか法律だと、先に手を出したほうが悪りぃんだよな? こーいうの、“正当防衛”っていうんだよな♪」


