恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~


あたしは立ち上がりながら「大丈夫……右膝をちょっと擦りむいただけ……」と答えた。

自転車のスピードはそんなに出てなかったし、勢いよく衝突したワケじゃないから、自転車ごと倒れちゃったけど、幸い右膝を擦りむいた以外のケガはなかった。

あたしがぶつかった黒いワゴン車のドアを見るとキズがついていた。でも、ほんのちょっとだけのキズで大したものじゃない。


“ガチャ!”

ワゴン車のドアが勢いよく開いてジャージ姿の若い男のヒトが3人飛び出してきた。

見たことのある3人。そうだ。今日のサッカーの対戦チームの選手たちだ。

「オイ、コラ! どこ見て運転してんだよっ!」

3人の中で一番怖そうなスキンヘッドの選手が怒鳴りつけてきた。そのヒトの顔がもうあたしの顔の至近距離で、しゃべるとツバが飛んでくるくらい。たしか、このヒトは相手チームのキャプテンだったはず。

「スイマセンっ! ホントにどうもスイマセンっ!!」

半分泣きながら謝るあたし。

「“スイマセン”で済んだらケーサツいらねぇんだよっ! ヒトのクルマをこんなに傷つけやがって、テ前ぇ、いったいどうしてくれんだよっ、オッ!」