驚いて急ブレーキをかけるあたし。
誠志郎さんの自転車も止まった。
剛はひとり先に進みながら振り返って…、
「“オレ様がマリヤと結婚してやる!”って言ってんだ」
そう言って不敵な笑みを浮かべた。
「………」
あたしは一瞬、呆然としたけど、次の瞬間、ムキになってペダルをこぐと、剛の自転車を追い越して振り返り…、
「な、なに冗談コイてんのよ。バカッ。剛のバ~カッ」
…って叫んだ。
なぜか、その声が震えていた。
多分、小っちゃい頃から大切にしていた夢を、“冗談”という名の土足で踏みにじられたような気がしたからだと思う。
そして剛の姿がにじんで見えたのは、あたしの目に涙が浮かんでいたせいだ。


