恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~

「じゃあ、あしたも忘れないで、ちゃんとこの時間に病院に来るんだぞ~」

服の下にホルター心電図を装着して診察室に戻ったあたしに向かって、父がノーテンキな感じで言ったのがいきなしムカついた。

「言われなくてもゼッタイ来るよ! 這ってでも来る! だって来ないとホルターはずしてもらえないじゃん!」

けど、あたしの中に湧き上ってきたのは怒りの感情だけじゃなかった。少し遅れて深い後悔の念もまた湧き上ってきたからだ。


あ~ァ、ヤッパ今日の検査はサボればよかったかなァ……。

今夜は勤さんとデートすることになってるのに、ホルター心電図をつけたままデートに行ったりしたら、あたしの心臓はドキドキしっぱなして、きっとデートのあいだじゅう心電図の針は振り切れっぱなしだと思う。

それにもしお酒に酔った勢いとかで、彼があたしのカラダを求めてきたりしたら、カラダに張り付いたホルターを見て、思いっきり幻滅するだろうな、まちがいなく……。


「あのさぁ、父さん……」

言いにくいことだけど“ダメもと”だ。

「ん?」

「今からホルターを外してもらうことなんて……できない……よ…ね…?」