『母さんはいつも泣いてた。泣いて...泣いて...ある日突然死んでしまった。元々身体が弱かったんだ。』

『....うん。』


『そんな大事な姫なら何故死なせた! 何故亡骸を奪われた! 何故生涯独りでいないんだ! 俺には理解出来ない...だからっ! 』


顔を上げたその顔は今まで見た事がない位、激しく激昂した顔だった。


『舞...お前は俺が必ず護る。絶対に。』


『...ありがと...。』


(きっと冬夜はあたしが思いも寄らない位辛い思いをしてきたんだ...。)


うつ向くその頬を両手で挟み名前を呼んだ。


『 大好きだよ? 』


何をするか知ってるみたいに冬夜が瞳を閉じた。


あたしは。


冬夜の唇に。


そっと。


思いが伝わるように。


キスをした。