『黙れ...人間界で騒ぎを起こすことは許さん。女を離せ。』


『嫌だ、僕の姫だ...。』


『....っ。』


強く身体を締め付けられて思わず声が漏れる。


『氷夜...俺をこれ以上怒らせるなよ? ケルベロス。』


途端に黒猫が象位大きくなって唸り声を上げた。


もう猫じゃない。


黒い大きな犬。


口からは白い煙、牙を剥き出して鼻に深い皺が刻まれている。


『くっ...。』


『舞っ! 』


冬夜がその隙をついて氷夜さんを突飛ばし、あたしの身体を引き寄せた。