『やめ...ろ...氷夜。』


『冬夜、この人は僕の女だ。まだ思い出してないだけで...さあ、行こう姫君、今度こそ離さない。』


『やだっ......冬夜っ! 』


あたしがそう呼んだ瞬間、冬夜が立ち上がった。


『舞に触るな。』


『やる気? 懲罰部隊を送る前に僕が...。』


『そこまでです! 』


辺り一帯に厳しく、凛とした声が響き渡った。


そしてその声は一匹の黒猫が発していて。


その側に、強い金色の瞳をした若い男の人が眉間に皺を寄せて。


この上なく不機嫌そうに。

腕を組んで立っていた。