『あのっ、王子...大丈夫だから。』


眼鏡の奥の瞳が鋭く光った。


『...名前で呼べと言った筈だ、舞? しかも昨日はなんだ...いきなり叫びながら勝手に帰って。』


『でもっ! 』


『くくっ...お前は本当に躾がいのある女だ。』


低く喉を鳴らして笑う様はさっきの親切で上品な王子とは別人みたい。


『う...。』


そのまま保健室に入ると中には誰も居ない。


『好都合だ。』


そう言って王子は鍵を掛けた。


(何か...嫌な予感がする.....。)