見ると王子は顔を背けて肩を小刻みに振るわせていた。


『あら? 冬夜が笑うなんて珍しいわね。』


春影さんが王子の顔を覗き込む。


『メズラシイ...トウヤ...。』


『王子っ...。』


必死になって呼ぶと少し顔を紅潮させた王子がカラスを呼んだ。


『来い、レイヴン。』


カラスが王子の所に行ってあたしは全身の力が抜けてその場に座り込んでしまった。


(怖かった...。)