私の彼は王子で死神

『…と…うや? 』


『…好きだ…』


熱い吐息に頭がくらくらする。


『ど…したの? 』


『満月のせいだな…気持ちの歯止めが効かない』


自嘲気味に笑うと親指があたしの頬を滑る。


『1日ごと…いや…一秒ごとに舞に嵌まる俺が居る。お前が居ない世界なんてもう考えられない』


かあっ、と顔が赤くなるのが自分でも分かる。今日の冬夜は一体どうしたんだろう? こんな甘い言葉を惜しげもなく言うなんて。


戸惑い下を向くあたしの顎を捉え、唇を優しく塞がれてしまった。


『ずっと…一緒に…』


『…ん…っ』


瞳を閉じた冬夜の長い睫毛に月明かりが影を落とし、陶器の様な肌は白く透き通っている。


不意にそのまま居なくなってしまいそうな位儚い。


急に怖くなって冬夜の腰にぎゅっと腕を回してあたしはゆっくり目を閉じた。