『今日は満月。魔界の扉(ゲート)が開く唯一の日。出発は深夜になるから今の内休んでおいてね』


『はぁい』


春影さんが出て行った後も何故か落ち着かなくてバルコニーでまん丸な月を見上げた。


冬夜に片思いしてた時から今まで、色んな事があって…。


最初は死神だとか生まれ変わりだとか全然実感無かったけど魔界に行く事になって急に現実なんだと突き付けられたみたいで。


『…どうなるんだろう…ちょっと怖いな』


小さく呟く。


『舞? どうした?』


『…月…見てたの』


振り返ると優しい瞳をした冬夜に嬉しくなって思わず微笑む。


『…! 』


何故か目を見開き狼狽えるその姿にあたしは首を傾げた。


『どうしたの? 』


『…っくそ…』


次の瞬間、痛い位強く、抱きしめられていた。