『えっと…これで良いかな…』


パンパンに膨らんだ旅行バックのチャックを締める為上に乗っかって格闘中のあたしに嵐が笑い声を上げる。


『持ってくもんなんて一つでいいだろ』


『何よ? ってかチャック閉めてくれない? 』


『いーよ』


手伝って貰い一息つくとポケットから何か取り出してあたしに見せつける様に嵐がその〈物〉ひらひらさせた。


『やっ! それ…』


『当たり~保健体育で貰ったんだ~コン…』


『わあ…っ! ちょ…っ』


こんなの持ってる嵐と一緒のとこ冬夜に見られたら。

今冬夜は皆と魔界に行くための打ち合わせ中、嵐に「舞に指一本触れるな」と言い残して。


『しまってよ! 』


『いや~』


嵐に飛び付いてそれを奪い取ろうとするけどひらり、とかわされてしまう。


『俺に触っちゃ駄目なんでしょ? 』


『あ、ら、し~! 』


『いやん! もっと呼んで』

ばたばたと部屋中走り回ってるといきなり扉が開いた。


ぎゃあっ! ヤバい!