『とうひゃ…いひゃい…っ』


『言って分からん奴には身体で覚えてもらう! 』


荒々しく部屋の扉を閉めると今度は反対の頬もぎゅうぅ、と引っ張られ余りの痛さにあたしは情けない悲鳴を上げる。


『…良く伸びるな…』


『ギブ…ギブ…っ』


冬夜の肩をバシバシ叩くと少し引っ張る力が緩んだ。

『さて…痛いか? 』


必死で頷くと更に被せる様に。


『…これからは勝手な事はしないな? 』


頷く。


『魔界は俺一人で行っていいな? 』


…それは譲れない。


ふるふる首を横に振ると再び指に力が入った。


『ひゃ…ぁ…』


『…舞、俺が行く。いいな? 』


ふるふる。


尚も首を横に振るあたし。痛いけど、心配してくれてるの分かるけど…やっぱり待ってるだけなんて嫌だ。

『…強情張りめ』


不意に痛みが無くなり冬夜が背を向けた。


…怒っちゃったかな?