私の彼は王子で死神

順序立てて話すと冬夜の顔が段々厳しくなって最後の方には明らかに不機嫌になっていた。


『…困った姫だ…お前も軽々しく約束などして』


『だってぇ』


あんな悲しそうな人に『嫌だ』なんて言えないし、何より姫の力になりたかった。


『…魔界には俺だけで行く』


きっぱり言い切る。


『駄目っ!!! あたしも行くっ。頼まれたのはあたしだもん! 』


この世界で心配して待つなんて絶対嫌だ。


『…おまっ…遠足に行くんじゃないんだぞ。ただでさえ氷夜が狙ってるのに! 』

珍しく動揺した顔で冬夜が言った。


『行くったら行くっ! 』


『あのなぁ…』


その時。


『うぉ~い! 誰か居る~
俺、NO.2だけどぉ~』


何とも間延びした声が玄関方面から聞こえて来て。


あたしと冬夜は顔を見合せた。