『ん?』


(…何か、忘れてない? )

『あああっ! 』


冬夜の胸を両手を押す。


『…お前…さっきからなんだ? 情緒のない』


『姫っ…姫に会った! 』


『は? 』


『姫だよっ! 氷夜さんの妹君…地下に姫が…ファミリアの! 』


興奮して上手く話が出来ないあたしの隣に座り直すと冬夜が静かな声で言った。

『…舞、お前が無事で良かった』


『はい? どしたのいきなり』


優しく見詰めるその瞳にすぅっと興奮が収まった。


『今度から先走るな。俺が必ず何とかする』


『ん』


『だから姫から何を聞いたか知らないが絶対一人で行動するな…いいか? 』


『はい』


くしゃっ、とあたしの頭を撫でると冬夜が言った。


『良し、じゃあ話せ…慌てなくていい。ゆっくりな』