私の彼は王子で死神

『....っ。』


一瞬奴の瞳が悲しげに陰った。


突然。


『...貴様っ...誰だっ...舞じゃないな? 舞を出せっ! 』


スピーカーから冬夜の怒りを帯びた声が聞こえ。


『...兄さん...。』


高城君のか細い震え声が後から続く。


『畜生っ!!!』


奴が部屋から慌てて出て行き、あたしは奴を追う。


『舞を出せえぇっ!!!』


冬夜が絶叫して部屋全体がビリビリ振動した。


(今の冬夜は何するか分かんない...止めないと高城君がっ! )


あたしは全速力で走った。