私の彼は王子で死神

そして今。


冬夜は偽物のあたし...つまり高城君にキスしようとしてて。


あたしは高城君の兄さんに迫られている。


『...仕掛けがしてあるんだ。』


兄さん...腹が立つから奴でいいや。


奴は壁のスイッチを押すと。


『...舞...無事で良かった。』


冬夜の安心した様な声がスピーカーから聞こえて来た。


『なかなか良いだろう? 好きな男が違う奴と...。』


『悪趣味っ...最低っ! 』


もう奴との距離はない。


ぴったり身体が密着している状態で囁く。


『姫君には手を出すなと言われたが...。』


『姫じゃない。』

『じゃあ、遠慮なく。』


顔が近づく。


『やだやだ馬鹿っ!!!』


(このおっ! )


あたしは膝で思い切り奴の急所を打ち付け頭で顎を突き上げた。


『ぐは...っ! 』


『調子に乗んなっ! 自分が辛かったからって他人に酷い事して良いって事ないっ! 』