私の彼は王子で死神

『ありがとう...もう大丈夫。』


薬を飲んだ高城君が青白い顔で言った。


『良かった...。』


『僕はもう平気だから...
用事あったんでしょ? 』


『本当に平気? 』


『うん...あの...。』


再び高城君が何か言いたげに口を開き掛け、次の瞬間身体がびくっ、と震えた。

『...なんでっ!!! 駄目だっ!!!兄さんが来るっ!!!舞さん早く帰るんだっ!!!』


青白い顔を白くさせて殆ど悲鳴に近い声で叫ぶ。


『...え? 』


『兄さんに見つかったら終わりなんだっ!!!早くっ! 』


急かされ靴を履いて扉を開けようと手を伸ばしたその時。


ゆっくり扉が開き、背の高い高城君にそっくりな男の人が。


あたしを見て歪んだ笑みを浮かべて立って居た。


『兄さんっ! 止めてっ! 』

高城君が叫ぶ。


『これはこれは...光の姫君、あなたから虎の穴に入られるとは...。』


その表情にぞっとして高城君に何か言おうとしたけど。


首の後ろに強い衝撃が走り。


何も、解らなくなった。