僕の彼女は天使様

前髪のせいでロイがどんな顔してるかわかんないけど。


ナイフなんか見えないみたいにすたすたと男の前まで歩いて行こうとしてる。


『行っちゃ駄目っ!...ロイっ!』


大きな声で言ったのにそのまま歩き続ける。


(聞こえてないの?)


『さっ...刺すぞっ! 』


『やって見ろカスがぁ! 女に...咲きさんに手、出しやがって...っ。許さねぇ! 』


勢いよく顔を上げて叫ぶロイの瞳は怒りで燃え、両手は固く握られ震えていた。

『うわあああっ! 』


『やめてぇっ! 』


男がロイに向かって刃先を向けた。