僕の彼女は天使様

そして今、完璧に道に迷ったらしい。


食堂で食べ物を拝借してリュックに詰め、こっそりドラゴンの住む亜熱帯地方へ続く森に入ったまでは上々だったはずなのに、いつの間にかぐるぐる同じ所を回ってるみたいだ。


頼みのコンパスを忘れるなんて…やっぱり僕は駄目駄目皇子。


なんとか池を見つけ水筒に水を入れると自分の姿が写し出される。


髪は少し茶色、母上譲り。ストレートは父上。


薄い唇に茶色の切れ長な瞳が神妙な顔で見詰め返している。


『突然…金色にはならないか…』


もちろん瞳の事だ。


後継ぎを拒んでたんじゃない。なれないから突っぱねてただけだ。


『なんか、格好悪い』


ぐしゃぐしゃ頭を掻いたその時。


茂みががさがさと不穏な音を立てた。