『なんだよ! 』


何故か涙が止まらない。


ずっと『次期魔王』に重荷を感じてたはずなのに、いざ『継がなくて良い』って言われたら悲しいなんておかしい。


悲しい?


違う…孤独なんだ。


両親が僕を可愛いがってくれてるのは良く解る。


父上は人間界に連れて行ってくれたり、どんなに忙しくても僕と一緒に居ようと努力してくれてる。


母上だってそうだ。


でも、あの二人には僕が入り得ない特別な絆がある。そしてそれに少しの疎外感を感じていたんだ。


『僕の…価値』


『魔王』に成れないならここに居る意味があるんだろうか?


ぶるり、と身体が震えた。

どうしよう…そんなの嫌だ。


『ドラゴンを…倒せば…きっと』


そう、きっとなにもかも上手く行く。


瞳が金色じゃなくても、父上は認めてくれるかも。


その時はそれしか頭に無かったんだ。