『よく…解んない…』


小さく呟いたその時。


『皇花! ここにいたのか!』


父上が勢い良く部屋に入ってきた。


『わあ! 』


逃げようとしたけどもう遅い。襟首をしっかり掴まれてしまった。


『離してよ! 絶対ドラゴンなんて倒しに行かないから!』


父上が唇の端を吊り上げにやりと笑う。いやに迫力があって伊達に魔王と呼ばれてない。


『駄目だ』


『なんでだよ! 僕は金色の瞳じゃないんだ! 跡継ぎにはならないんだからそんな事する必要ないんだ!』


『…お前に跡を継いで貰おうとは思ってない』


『え…』


ぐらりと身体が揺れる。父上は僕に期待してたんじゃない…とっくに諦めてたんだ。


『皇花…俺は…』


『離せっ! 』


何故か涙が滲んだ。


『期待してないんなら僕に構うなよ! 』


『皇花違うの! 皇は…』


母上が叫んだ。


『父上も…母上も大嫌いだっ! 』


僕は部屋を飛び出した。