『母上…』


扉を叩くと柔らかい声が聞こえた。


『皇花? どうぞ』


おずおずと中に入ると本を読んでいたその顔を上げてにっこり笑うその顔にほっとする。


『どうしたの? 』


『あの…父上の事なんだ…』


『ふふ…何かしら? 』


『父上は若い時どんな人だったの? 』


『そうね…今とあまり変わらないかしら』


なんだよケルベロス…嘘つき。


『…完璧だったんだ』


『完璧? まあ…』


クスクスと笑う母上。


『…何? 』


ちょっとカチンときた。


『完璧かどうかは分からないけれど何でも全力投球だったかしら』


『ふぅん…』


『諦めない心を持ってるわ皇は…だから私達は結ばれあなたが生まれたのよ?』