僕の彼女は天使様

鼻を時折すすりながら明様がぽつりぽつりと自分の事を話す間私は寒くないよう尻尾を膝にお掛けすると、にっこり笑われました。


『ありがとう。暖かい』


『いいえ』


良い笑顔です。それだけで私は何とも言い難いセンチメンタルな気分になってしまいました。


話を要約すると。


明様の父上は開業医で、明様に跡を次いで欲しい。


しかし明様は画家になりたい。


両親の期待に答えたくて絵を我慢してたけどやっぱり描きたい。


勉強しても頭に入らない。

こんなのじゃ期待に答えられないし、絵も描いてないからどんどん下手になって何にもなれない。


苦しい。


明らかなジレンマですね。

『画家になりたいとは言わなかったのですか? ご両親に』


『言ったよ! でも絵で成功する人なんて一握りだって父さんが…』


まだ涙で潤んだ明様の瞳をあえてじっ…と見詰めて私は言いました。


『私が聞きたいのは明様の気持ちです。父上の気持ちではございません』


『…僕の…気持ち…』


不安定に瞳が揺らいで、唇は何か言いたげに開き…そしてまた閉じる。


明様は今必死で考えておられるのかも知れません。


何、私は休暇中。


時間は沢山あります。


それに待つのも慣れっこです。